Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第一回 書き起こし その3

8月24日(金)に開催された「Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第一回」の書き起こしです。


中島:次のページが、ちょっと私の自己紹介がわりじゃないですけど、私は86年に NTT の研究所からその頃ベンチャー企業だった Microsoft、本当だれも知らない 

夏野:NTTよ!今、ディスってた。

中島:当時は本当に世界で時価総額ナンバーワンだったので。その企業から、名も知れないMicrosoftに転職したんですよ。で、まーね。後から考えれば先見の目があったとか、言うかもしんないけど、全然そんな話じゃなくて、私も学生のころからプログラムを書いていたから、とにかく、その、プログラムを書くのが楽しくて楽しくて、しょうがなかったわけですよ。その NTT の研究所ならば、ねー、なんかすごく面白いものが作れるんじゃないかと思って入ってみたら、NTTの研究所の人達って、実はプログラムって作らないんですよ。仕様書を書くんですよ。それもフローチャートで、丁寧に全部書いて下請けに丸投げすると、下請けのコーダーと呼ばれてる人が1行100円で書くっていう、なんかもどうしようもない状況で、どう見てもそのフローチャートを書く時間で、僕はプログラム書けるなと思ってみて、やらせてくれって言ったら、「そういうことをやらせるために君たちを雇ったんじゃない」とか言われて、だいたい、その、ソフトウェアのアーキテクチャなんて、やっぱり作ってみないとダメなんですよ。だから紙の上にアーキテクチャなんか書いても、やっぱり実際作ってみると、うまくいかないので、作り直しっていうのが当然なんですけど、やっぱ下請けの人は上に向かって文句言えないじゃないですか。こんな仕様書じゃ作れませんって言えないですから、だから、黙って、どうせ1行100円なんだから、3行で書けるところを5行にしとこ、みたいなことしてるので、下は、良いプログラムができるわけないんですよ。っていうことで、悶々としていた時に、その元々アスキーでバイトしてたんで、アスキーで一緒に働いてた古川さんとか、成毛さんとかが抜けて、Microsoft Japan を作るって言ったので、いきなりその日経の記事を読んで古川さんに電話して「水臭いじゃないの誘ってくれないの」って言ったら「お前はエリートコースを歩いて言うからこんなところへ来ないと思ったよ」って言われたんですけど、行くことになり、そしたらもう大変でしたよ。教授からは怒られるが、もう本当にその研究所長まで来て、その「君は道を誤ってる」と。 NTT に20年いれば、年金も出るし、天下りもできるし、なんか全然説得力ないんですよ。なんかその僕にとっては、作りたいものがいっぱいあるのに作らせてくれないって悩んでるのに、20年後の年金とか天下りの話で、説得に来てもダメで、結局やめて、結果オーライで結構いいタイミングで Microsoft に入ったんですけど、なんだろうなあ、今もね、でも、日本ってやっぱりもう少しは増えてきたとはいえ、やっぱり、大きな企業に優秀な人がなんか眠ってるじゃないですか。

夏野:本当そうですね。で、なんで寝眠ったままなのかっていうのがね、これ日本の大企業優秀サラリーマンの法則っていうのが分かりました。
すごい問題意識を持って頑張るのが、頑張るのがちょうどね30代ぐらいなんですよ。20代はね、やっぱり、なんかいろいろ結構大きな会社にいると、結構自分ではできないような、大きな仕事を、自分個人じゃできないような、あるいはベンチャーじゃできない大きな仕事を、与えられたりするんで、結構それはそれで給料と関係なく、コンペンセーションとは関係なくやる気満々なんですね。
30になると人が使えるようになるので、30代になると、まさに自分が会社回してるぐらいの、俺は給料でお金なんか関係ねぇんだと。この大きな仕事が、俺のミッションだって思って頑張るわけです。
で、40過ぎると、急にですね、あれ、これくらいしかやってないのに、こんなにもらっちゃっていいのかな?っていう、あの価値観逆転するんですね。
だから、30代ぐらいまでは、俺は絶対、会社でこんな安い給料だけど、俺が会社に貢献してる価値はすげー!俺なんかいつでも辞めてやれるから、とか言っているのに、40超えた瞬間に、あれ?これで、これだけのコンペンセーション貰えるんだったら、このまま入ると楽かもなしかもなぁ。しかも、まだあと20何年ある、みたいな、そういう、しかもちょうどその頃にね、家族ができたよ、奥さんがめんどくさいこと言い出したりとかね、結構、奥さんが「大きな企業にいてくれ」とか頼まれたりね。色々出てくるんですよ、しがらみが。
娘の学校が入学が近いとかね、そうすると、なんか企業にいた方が有利かもしんないとか。くだらない色々なしがらいが、ふと出てきて、ふと気づくと、なんか会社から貰ってる価値の方が、自分がやってることより大きいかもって言う時が来るんです。それがほとんどの、サラリーマンの実態です。
そのまま50を超えるとですね、同期で一人か二人役員が出で、あとは全部出向になんですよね。あれ!?ここで、こんな人生のはずだったんだろうかっていう時には、もう後は、何か、出向先の企業とかで65まで職業が安泰みたいな。もう、なんか飼い殺し人生ですね。

中島:そうですよね。で、ちょっと話はそれちゃうけど、僕はその、さっきおっしゃってた、生産性が上がってない原因の一つが、実は解雇規制にあるんじゃないかなと。

夏野:まさにそう!
だから僕は、実は経産省とかでも言ってんですけど、政府の委員会で、ものすごい言って、議事録に絶対の残らないんですけど、実は日本に必要なのは、非正規雇用をなくすことじゃなくって、正規雇用をなくした方がいいんじゃないかと。つまり、最長雇用契約10年までっていう制度にした方がいいんじゃないか。公務員も含め、って言ってます。そうすると、契約更新は10年ごとにあるんだけどね。

中島:テクノロジーのおかげで、今まで3人でできた仕事が、一人でできるようになると、生産効率3倍になるじゃないですか。アメリカとかは、それを平気でしてるので、どんどんの生産効率がるんですけど、日本は人が切れないので。

夏野:ちなみに言うと、もうここにいらっしゃる方が生きてる間は、日本は労働力不足のまんまです。だから今、失業率がですね、3%切っちゃって、もう完全雇用状態ですけど、これはもうあと30年から40年は続きます。
自分の声きくの、嫌だね。
なので、実は全然心配する必要ないんですよ。仕事にあぶれる心配は全くない、全くないんです。だから、今はすごい好機なんですよ。この解雇規制、一気に緩和しちゃう。ただね、これに反対する人たちがいるんだなあ。枝野さんとかね。あの、今の日本の政治家は、やっぱり支えられているのが高齢者なんで、高齢者の人たちはね、企業は悪って言う、朝日新聞的カルチャーにすごい浸っちゃってるんで、利益は悪、経営者は悪、何もしなくても、ちゃんと労働者が、すごくなんか緩やかに働いてて、効率悪くても、緩やかに働いてるのが素晴らしいっていう価値観なんです。

中島:最近、なんか労働組合とかが、なんかちょっと、何て言ったらいいんだろうな、自分より下がいると満足しちゃうみたいなのもあって。

夏野:今、労働組合の話出たんで、面白いんですけど、あの某、今期最高益を出しちゃって、威張っている家電メーカーっていうか、 AV メーカーあるんですけど、こないだね、面白いことを聞きましたよ。なんと、正規社員の管理職比率が40%なんだって!40%も管理職がいて、ほとんどマンツーマンですよ、1:1.5だからね。誰を一体管理しているんだ、みたいな。つまり、その管理職は労働組合なんですよ。普通、管理職って労働組合に入れないはずなのに、役員じゃない人、みんな労働組合だから。つまり、労働組合が管理職の、生産性の低い管理職を存続させるために、労働組合があるみたいな。
若年層の労働組合参加率は、どんどん下がってますから。くだらない運動会とか言ってね。みんな嫌がっているわけですよ。だからもうなんかめちゃくちゃですね。

中島:野球のベンチに、なんか監督とコーチばっかりいるみたい。

夏野:そうそうそう。

中島:ちょっとね。

夏野:すごく面白い状況になっています。

中島:その失われたこのまま30年40年になりますかね

夏野:ここはすごく難しいとこなんですけどだいぶ変化の兆しは見えているんですが後はその痛みっていうことに対してどういう風にその反応するか。
だから今安倍政権はすごく盤石なので結構改革が出来てるんですね。
働き方改革って3年前には絶対的出来ないって言われてたんですよ。
もう今すごいことなってるじゃんってみんな帰れ帰れ。これはね日本はやっぱり制度とか法律からいじってくとできるってこと証明してて、安倍政権あと3年続くってこのあいだになにができるかですね。これで一回安倍さん終わったら自民党の人になろうが、野党の人はないと思うけど自民党の人次はもうちょっと脆弱になると思うんで今みたいに社会改革できないんですよ。今いる人たちのコンセンサスで動いてる時には絶対に無理な。
狂犬だとか言われるぐらいの時じゃないと制度改革できないのであと3年で何できるかですね。ここはすごい重要だと思いますね。

中島:解雇規制?

夏野:解雇規制はやってほしいですね。

中島:できるかな?

夏野:できるかなちょっと難しいかもしんないけど。ただの状況はいいです。だから僕はベーシックインカムとかの導入とセットで解雇規制やるといいと思う。解雇規制の緩和を。
でも全然。あと最低賃金をもっと引き上げても良いところです。

中島:そうですか?

夏野:全然だって今人手が足りないし、もっとがんがん引き上げていいと思います。
フランスしってます?フランスの過去同じ期間今さっき1996年と2017年で日本の GDP 0.8%しか増えてないっていう話ましたけど、実はフランス40%増えてるんですよ。フランス経済規模1.4倍になってんですね。だけどフランス人全然働かないですよ。週35時間ですからね。残業絶対しないしね。夏休み一か月取りますよね。そんな1600時間で GDP て1.4倍になってんです。だからもっと単価上げて時間短くしてこれ生産性ですね。
やれば日本はねみんなで副業やればいいんですよ副業。

中島:そのずっと思ってるのは、さっきの経団連の重鎮の話じゃないですけど。いつまで茹でガエル状態って言われてる企業がずっと残ってるじゃないですか。あれはどうしたらいいんでしょうね 

夏野:あれはね難しい。
茹でガエル残してるのがだいぶ淘汰されましたけどね。あのシャープはもう台湾企業だから日本企業じゃない。東芝も空中分解してるでしょ。でどんどん売ってるでしょ。だから、今の政府系のファンドは悪だみたいな感じでメディア言ってますけど、実は産業革新機構ができたことで、産業再編はやりやすくなってるんですよ。ただ今の産業再編てダメになったところを再編してんですね。だから今更液晶画面の JDI って作ってももうtoo lateなんですね。
今やるべきは自動車メーカーを三つにすべきですよ。 だって無理じゃんイスズとかスバルとかさ。だってもう無理じゃん。であそこダイハツとかもトヨタの傘下になってんのになんで社長と役員がいるんだよ。思いません?

中島:でもそれは天下り先が必要とか色々事情もある。

夏野:だからそこが非効率なんで。一気に国の金使ってでも再編させる。
やる気がある経営者だったら、例えばもしゴーンさんがまだギリギリ最後の三菱やってるからね。ゴーンさんはやってるわけですけど。イスズとマツダも欲しいって言ったら国が金出してもいいと思うんですよ。試験バックアップして。でそれでも一つにまとめるとまず、これ面白いんですけどね。役員の数がだからまとめた分だけ生産性上がりますから。
だから例えば20人の役員でよければ、今60人いるんだから3社分20人になるんだから。管理職もでしょ。
今日本に炊飯器メーカー何個あると思います、皆さん?炊飯器の市場なんてたかだか年間1000億も多分ないと思うんだけど、10社ぐらいあるんですよ。東芝日立と原子炉を作ってるメーカーから始まって、パナソニック、シャープに何とかして。確かに原子炉の構造と炊飯器の構造は近いってら近いで最後の最後に行くと象印タイガーまであるんですね。ところがどこの会社を見ても。企画とか生産にかかってる人は3割ぐらいしかいないんですよあと7割は何やってるかと営業と総務と人事課とかいてなくても全然変わんないような人たち。
これが7割なんですよ。だからもし10社ある炊飯器メーカーが2社に集約されたらどうなるかって言うとその残った2社の開発要員が5倍になって、で間接要員と営業要員は今のままだから産業全体で言うと5分の1になる。
そしたら何考えるかって言ったら当然世界出てくでしょ。だって僕タイガーのね素晴らしいあの15万のね買っちゃったんですよね。あの佐々木希ちゃんが宣伝してた、めっちゃくちゃ性のいいですよ。もちもち。これすげーと思ったら6ヶ月後にパナソニックが同じ価格帯で似たような商品出してくるわけですよ。お前パナソニック電池やってりゃいいだろうと。何でお前パナソニックが炊飯器作ってんだよとか思うんだけど、そこ整理しないんですよ。
経営者。それは解雇規制の問題もあるし、そこでやってる人がいるからって言うんだけど。
僕は携帯作ってた時はね同じことを聞きに来るのに営業が各社の営業が来て、俺んとこに来て、何言うかって言うと飲みに行きましょうと、それとゴルフ行きましょうね。もうふざせてる。飲みに行く予算つく前から連れてかれると不味くて。食ってどうしようもない酒もまずいし食事もまずいしさ。中途半端なのなだまんのセカンドみたいなとこに連れてかれるから、もうメーカーの人とは飲食はしないって決めてとかやってたんだけど、もうほんといらない。あの営業と総務と人事と、経理は全部コンピュータがやってくれるから。
だから産業再編をまだ死んでない産業で一気にやるっていうのをやってほしいな。

中島: 今の日本の横並びの同じもの作るのやめて欲しいな。

夏野:ダイソンに任しときゃいいと思いませんか掃除機は。ほんと行くとねダイソンそっくりな掃除機がねパナが作ってる。もう真似したって言ってんのはもうさ昭和でも終わりでいいじゃないですか

中島:その iPad は出た時に某パソコンメーカーの事業部長さんに相談されたんですよ。
で相談してって喜んで行ったらうちもタブレット作りたいと。だからちょっとアイデアをくれって言うんでね。まあにあげるのはいいけど何で作るかを教えてくれよと。
そしたらうちパソコン事業伸びてないし、結構エンジニアいっぱいいるし、だから結局エンジニアがいるから作るんですよ。全然そのタブレットを作ったことによってどんな世界を作りたいとかがない。だからどういう 使い方をしてどうして欲しいってビジョンがない。
自分はパソコン作ってたし、エンジニアもいるしてアップル iPad 作ったから僕らもタブレット作りたいで作ったね当然のように大失敗ですよ。なんかそれはねなんなんだろうね。

夏野:ただねぇ、僕はやっぱり1番になれないことをやってもしょうがない派なんですけど、日本の経営者の中にはうまくいけば必ず1社では独占できないから2匹目3匹目4匹ぐらいまでは行けるって信念持ってる経営者多いんだよね。同じようにやればいいから、これが一番楽だと。これは若い経営者でもいっぱいますよ。だからみんなFXに行ったりするでしょ。

中島:そうだね。

夏野:あれはねぇ。二番煎じの方が事業確率として良いっていう算段をしている。こういう人とは俺は話が合わないんだけど、そういう経営手法なんだと最近分かりました。でもコイツには何も生み出せないなぁと。でもそういう人に限ってね。”インターネットで世界を良くする”とか会社のビジョンになってたりするんだ。面白いですよ。

中島:僕、さっき経団連の重鎮の悪口も言ったけど、実は日本のベンチャー企業に対してもちょっと言いたいことがあるんですよ。それは、お前らビジョンがあるのかと。
僕は“ビジョン“というこの言葉をちゃんと広めたいんだけど。ネット企業にビジョンがあるかどうかを判断する一番の方法があるんですよ。結局、ビジョン持ってるって事は、どういうライフスタイルをして欲しいとか、どんな価値を提供したいとか、どんな社会にしたいとかっていう熱い思いがあるってことじゃないですか。ビジョンがない会社っていうのはとりあえず儲かることやるんですよ。搾取だろうと何だろうと。その典型的なビジネスが FX とガチャと仮想コインですよ。だからその3つに手を出してるベンチャー企業はビジョンがないんですよ。すごく悲しいですよね。
でね、mixi にとっては、 Facebook が伸びてきて生き残るにはそこに走るしかなかったのかもしれないけど、ビジョンがないのかって言っちゃいますよね。だから、僕はメルカリの経営者の人は知らないですけど、絶対にその3つには手を出さないでくださいね。僕はメルカリが好きだから、その3つがどんなに儲かろうと、自分がなぜ作ったかっていうの忘れないであの路線で頑張ってほしい。アナリストやMBAが必ずいろいろと言うと思うけど、その三つはだめですよ。パチンコと同じ搾取産業なんですよ。ビジョンなき金儲けに走るベンチャー企業は悲しい。儲けるなとは言わないけど、もう少しビジョンのあることをして欲しいですよね。やっぱりそういう熱い思いに人が集まってくるし、お金も集まってくるので、そこは頑張って欲しいですよね。

夏野:あとね。今日この場がいいなって思うのは年代もバラバラですよね。でっ、日本ってベンチャーであっても、なんか社長の年齢で層がきられているんだよね。20代社長の会とか30代社長の会とか。なんか、自分よりも能力的に上の人を取りたくない人が多いんですよ。孫さんだってあの笠井さんっていう爺ちゃんが CFO をやってたから良かったんですけど。経営陣って年代も経歴も経験も多様性があるほうが絶対強いので同世代だけで過ごし易くやってるのはよくないなぁと思います。シリコンバレーに行くとその辺はめちゃくちゃです。だいたい外見では何歳かわかんない。こいつ相当上だぞと思ったらまだ40とかいるし。

中島:アメリカって人を採用するときに年齢聞いちゃいけないんですよ。

夏野:いけない。

中島:法律で決まっていて。そもそも履歴書みたいなフォーマットはないけど年齢聞いちゃいけないですね。本当は性別も聞いてはいけないぐらいかもしれないですよね。

夏野:性別は見るとわかる。最近はわからない人もいるんだけど。だけど、年齢とか経歴とか単一化しようとする傾向が大会社だけじゃなくてベンチャーにもありますね。メルカリなんかも60ぐらいの経験豊かなシニアな奴も混ぜればいいのにって僕は思いますけどね。

中島:特に経理なんかはね。

夏野:あと、人事系とかね。

(続く)