Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第二回 中島聡 x 井上智洋 書き起こし その2

2018年10月19日(金)に開催された「Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第二回 中島聡 x 井上智洋」の書き起こしです。

ソフトウェアエンジニアである中島聡と、マクロ経済学者の井上智洋氏(駒澤大学)が、既に始まっている情報技術の飛躍的な革新が、経済や産業、社会全体に及ぼす影響やインパクトに関して、テクノロジーと経済の両方の側面から議論しました。

第4次はこのまま行くとですね、アメリカかなって、私は2年ぐらい前に思ってたんですけども、最近予想を変えました。中国じゃないかという風に思ってます。ひょっとすると、アメリカ中国入れて、アメリカ、中国、インドの三つのですね、大国が横並びという形になり、かつ中国が頭ひとつ抜けかなというふうに考えていますね。」

未来ではインドと中国がアジアで最初にテイクオフして、日本は後からノロノロついていく、テイクオフする、あるいはなかなかテイクオフできないという状況になってしまうかもしれない。それぐらい、今ですね、日本がですね、 AI を含めて科学技術力が衰えているし、起業家マインドっていうのもですね、中国やアメリカに比べてですね、かなり衰えているという風に思っています。

井上智洋氏: それからですね、もうちょっとポジティブな話をしますと、人工知能はですね、第4次産業革命ってですね、産業に革命的な変化をもたらすだろうということなんですが、第1次から第4次まで並んでいますけども、その、それぞれの産業革命で、鍵となる技術というのがあります。それを汎用目的技術と言いまして、ひとつの技術が、いろいろな分野で使えますということなんですが、それが第1次では蒸気機関、第2次では内燃機関、電気モーター。内燃機関というのはガソリンエンジンですね。第三次はコンピュータとインターネット。第4次は AI とビッグデータ 、IoT ということなんですが、ここで注目していただきたいのは、それぞれのですね、産業革命でこの汎用目的技術をいち早く導入した国が、「ヘゲモニー」覇権を握ってきたということですね。最初の産業革命ではイギリス、次がアメリカ。ヨーロッパではドイツ。第三次は引き続きアメリカ。第4次はこのまま行くとですね、アメリカかなって、私は2年ぐらい前に思ってたんですけども、最近予想を変えました。中国じゃないかという風に思ってます。ひょっとすると、アメリカ中国入れて、アメリカ、中国、インドの三つのですね、大国が横並びという形になり、かつ中国が頭ひとつ抜けかなというふうに考えていますね。

第4次産業化革命がですね、もう第二産業革命以来の、かなり大きな変化になると見ているんですが、なんでかと言いますと、経済の構造をですね、抜本的に変えてしまうからということですね。今のですね、経済、資本主義をですね、私は機械化経済と呼んでいるんですが、それはですね、機械と労働と、この二つ input あって、生産活動を行われて、それでアウトプットである、なんかあの工業製品とかが作られるという、こういう経済なんですね。この経済を、数理モデル作って分析してみると、実際にそうなんですが、経済成長率2%ぐらいで、だいたい落ち着いてついてしまうということですね。発展途上国とか、キャッチアップの過程にある国はですね、中国とかインドみたいに6%を超えるの成長率が実現するし、日本でも高度経済成長期って10パーセントを超える成長率が持続していたんですけども、だんだんだんだん経済成熟してくると、2%かそこらの成長率しか得られないということですね。これがですね、第4次産業革命になって、このかなり AI ロボットを含む機械ですね、オートマチックに物が作れるというですね、そんな経済。これを純粋機械化経済と私を呼んでいるんですが、第4次産業革命後にですね、徐々にこんな経済へと転換していくということですね。まぁ、一応、人間の役割は残ってるんですけども、その人間の役回りは結構変わってくるってことですね。この新しい技術を研究開発するとか、生産数を全体をマネジメントするっていうのが人間の仕事であって、直接物を作るのですね、かなり機械に任せられるようになるんじゃないかということですね。こういう経済に関する数理モデルを作って、結果だけを示しますと、経済成長率がもんどんどん上昇して行っちゃうという、そういう経済ですね。だからもう今年2%の成長率だった、来年は3パーセント。再来年は5%。次の年には8%とか、どんどん成長率、高くなっちゃうと。高度経済成長期どころのお話ではない、ということですね。

もし、こういうことが本当に可能であれば、第4次産業革命後に上昇路線に乗った国と、何かその技術的失業、 AI 失業とか怖いんですね、あんまりAIとかロボットとか導入しないようにしましょう、っていう国はですね、こっちのあの青い線の停滞線路線の方に行ってしまうと。こうやって色んな国が分岐してしまう可能性ってあると思っています。もちろん停滞してるんだけど、後から上昇路線に乗る国っていうのもあろうかと思います。これを私はですね、第二の大分岐という風に呼んでいます。最初の大分岐というのは、経済史の用語でありまして、縦軸が一人当たり所得で、さっきと縦軸は違うんですけど、さっきは経済成長率ですね、これが未来に起きることで、過去に起きた大分岐というのは、こちらになっていてですね、一人当たりの所得がですね、産業革命を機にイギリスはじめとする欧米諸国が上昇路線行きました。日本を除くアジア、アフリカ諸国が停滞路線に行きました。

それでは日本はですね、送らばせながら、こっちの上昇路線に行くことができたという、そういう歴史があります。中国、インドはこの時は停滞路線に行ってしまいましたが、未来の大分岐では逆のことが起きちゃうんじゃないかっていう、私は心配があります。ようするに日本は過去の大分岐では、いち早く上昇路線方に行ったのですね。うち私は上昇路線に行くことをテイクオフと呼んでいますけども、日本がアジアで最初にテイクオフした。それが今度はですね、未来ではインドと中国がアジアで最初にテイクオフして、日本は後からノロノロついていく、テイクオフする、あるいはなかなかテイクオフできないという状況になってしまうかもしれない。それぐらい、今ですね、日本がですね、 AI を含めて科学技術力が衰えているし、起業家マインドっていうのもですね、中国やアメリカに比べてですね、かなり衰えているという風に思っています。こういう状況ですね、変えたいというのがですね、一つシンギュラリティソサイエティさんので目的でもあろうかと思うんですが、そんなふうに私が思っています。そういうわけで、ちょっとすいません長くなりましたが、私からは以上になります。

司会: はい、ありがとうございます。

ここからは井上先生と中島さんの対談の方に移らさせて頂きます。