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パソコン・インターネット・スマートフォンに象徴されるIT革命は、IT産業だけに止まらず、製造・放送・出版・音楽・映画・小売などの複数の業種に多大な影響を与え、社会や人々のライフスタイルに大きな変化をもたらしました。

この変化のスピードは、人工知能、IoT、ロボット、ドローン、AR、VR などによってさらに加速し、これまでの経済や社会のあり方や人々の生き方を根本的に変えるだろうことは明確です。

「シンギュラリティ」という言葉には、そんな時代への「期待」と「不安」の両方の言葉が込められています。

人工知能やロボットが人間の能力を超えて進化するのは素晴らしいことだけれども、そんな時代の人間の存在意義はどこにあるのか、という哲学的な疑問も込められているのです。

「パーソナル・コンピュータの父」と言われるAlan Kay氏は、「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉でも知られています。

シンギュラリティ・ソサエティは、IT革命がさらに進んだ未来に、社会、ビジネス、ライフスタイルの形はどうあるべきだ、という具体的な提言、プロトタイプ、ビジネスプランを通じ、より良い社会を作ることを目的としています。

この問題は様々な側面から議論することが可能ですが、シンギュラリティ・ソサエティでは、以下の6つをメインテーマとして、議論を展開していきます。

  • 自動運転車と街
  • 自動化と社会保障
  • 監視社会とプライバシー
  • 貧富の差と民主主義
  • 仮想現実と少子高齢化
  • サステイナブルな発展
 
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自動運転車と街

自動車産業は、現在、「EV化、自動運転化、シェアリング・エコノミー化、自動車のネットワーク・ノード化」という4つの大きな変化の時を迎えています。

これらの変化により、自動車は「所有するもの」から「必要に応じて呼び出して乗るもの」に変わります。つまり、ハードウェア・ビジネスから、サービス・ビジネスへの大転換が起こるのです。

自動運転化に伴い、駐車場が不要になり、交通渋滞も事故も減り、最終的には信号すら不必要になります。

タクシーとバスと鉄道のビジネスが融合し、現在のバス料金ぐらいで、ドアツードアで送迎してもらえる時代が来るのです。

しかし、そこへ至る道は平坦ではありません。あまりに不連続な変化は、様々なところに歪みを生じ、それが進歩のスピードを送らせるのです。旧来型のビジネスを営む人たちは抵抗するし、既存のインフラが足かせになりかねないのです。

自動運転が事故を起こすたびに、大騒ぎをするメディアが、世論を好ましくない方向に持って行ってしまう可能性も十分にあります。

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自動化と社会保障

人工知能やロボットの進化により、人々の職が奪われることは確実です。より安い方法、より確実な方法があれば、それを選ぶのは、ビジネスの常です。

もちろん、「人間にしか出来ない」高度な仕事は存在し続けますが、そんな職に就けるのはごく一部の人たちです。

このままのペースで技術が進化して行くと、90%の人々が貧困状態に陥ったような社会になってしまうことは目に見えています。

そのためには、何らかの形で富を再分配し、社会を安定させる必要があります。ユニバーサル・ベーシック・インカムは一つのアイデアですが、必ずしもそれがうまく行く保証はないのです。

また、社会保障を充実することにより、たとえ90%の人々が働かなくても生活出来るようになったとしても、それで彼らは幸せなのか、人々はどこに「生きがい」を見出せば良いのか、という疑問が残ります。

監視社会とプライバシー

安価になったカメラなどのセンサーと、センサーからの大量のデータを高速に処理する技術の進化により、政府や企業が人々の場所や行動をリアルタイムに把握することが可能になりつつあります。

これは、防犯やテロの防止、もしくは、よりきめ細かなサービスの提供という意味では大きなメリットがありますが、反面として人々のプライバシーが侵害されるという問題を持っています。

最近、Microsoft がこの問題に関して、声明を出しました(参照:Facial recognition technology: The need for public regulation and corporate responsibility)。とても良い資料なので参照してください。

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貧富の差と民主主義

2011年の Occupy Wall Street 運動、そしてその後のトランプ政権の誕生、英国のEUからの脱退は、貧富の差が広がり、現状に不満を持つ人が大多数を占めるようになると、ポピュリズムが台頭して社会が不安定化することを示す良い例です。

Matthew Stewart 氏は「The 9.9 Percent Is the New American Aristocracy」 という記事で、米国では上位10%の人たちが、富の大半(80%)を持っており、その差が開く一方だということを指摘しています。

この傾向が続けば、非現実的な甘い言葉で票を集める極右・極左政権が各国で誕生し、移民の迫害や自国の利益だけを追求した保護主義に走り、それが戦争や人種隔離政策などの不幸を生み出す可能性は十分にあります。

そもそも、選挙によって選ばれた人々が日々の政策決定を行う「議会制民主主義」が、果たしてこの時代に適したものなのか、という疑問も浮かびます。

ネットやスマートフォンを使って、国民がより直接的にリアルタイムに政治に参加できる、新しい形の民主主義を模索すべき時期が来ているようにも思えます。

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仮想現実と少子高齢化

少子高齢化は、先進国に共通する悩みですが、インターネット上でのコミュニケーションやソーシャル・ネットワークが充実し、ネットが人間の承認欲求まで満たすようになった結果、現実の世界での人と人の接触を減り、それが少子化に繋がっていると指摘する人もいます。

今後、人間の代わりに相手をしてくれる人工知能やアンドロイドが進化するにつれ、その傾向がさらに強まり、それで満足してしまい、実際の異性との接触を必要としない人が増えても不思議はありません。

特により没入感の高い体験を提供してくれる VR や AR、人との区別がつかないほどの高性能なボットやアンドロイドが誕生すれば、それが人間の社会生活に与えるだろう影響は、パソコンやスマートフォンの比ではないぐらいに大きくなると予想できます。

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サステイナブルな発展

これまで人間社会は、自然を破壊し、石油や鉱石などの資源を湯水のように使うことにより、発展してきました。

しかし、ようやくここに来て、このままでは環境も悪化し、資源も枯渇してしまうということに人類は気がつきました。

これからの発展は、サステイナブル(維持可能な)ものでなければならないし、同時に、これから発展しようとしている開発途上国にとって不利なものであってもなりません。

最近は、最新技術に欠かせないレアメタルの奪い合いが、環境破壊や地域紛争やの原因になることも多発しており、環境のためにも、地政学の面でも、大きな影響を持つようになっています。

また、先進国が圧倒的な技術力で、開発途上国の内政に干渉したり、逆にロボット兵器を手に入れたテロリストが、これまで考えられなかった方法でテロを起こすなどの事象は、今後も増え続けて行くと予想できます。

この問題に関しては、国連がSDGS(Sustainable Development Goals)と呼ばれる開発目標を掲げているので、これが良い指針となります。